1.介護保険が給付すべきは介護技術、介護労働、介護環境である。
即ち、インフォーマルケアでは担うことが難しい
「一定水準以上の技術を要する介護」
「介護者の心身の負担が大きい介護」
「かなりの費用を要する住宅改修、生活(福祉)機器の確保、
公共空間の改善等」である。
2.従って、こうしたもの以外は
家族、近隣、友人、ボランティアなどの日常的役割と考えるべきである。
つまり、専門的労働を投入すべき部分は
社会サービスとして制度化するとともに、
市民や企業が担うべき範囲も明確にすべきである。
そのためには企業が有給の介護休暇、育児休暇、
ボランティア休暇等を保障する必要があり、
政府はそれを積極的に支援すべきである。
3.地域社会の再構築(コミュニティづくり)なしには、
真の介護は成り立たない。介護の本質は人間関係にある。
その点では育児と同じである。
より良い親子関係や近隣関係なしに
育児(児童の健全育成)は成立しない。
社会的な孤立は虐待の温床となる。介護も同様である。
介護は決して専門職と要介護者の関係のみで
考えられるべきものではない。
その土台に、より良い家族関係や近隣関係、職場関係、
学校関係等がなければより良い介護は成り立たない。
介護におけるQOLの決め手となるのは
決して「専門職と要介護者の関係」ではなく、
インフォーマルな関係である。
4.現在の介護保険制度やそこで展開されているケアマネジメントでは、
そうした人間関係、社会関係の全体像
(当事者とその社会生活の全体像)に対する視野が全く欠落している。
その結果、不要なところに費用が掛かり、
必要以上にコストが膨張するにも関わらず、
当事者にとってのケア効果や満足度は半減するのである。
5.加えて、日本の介護保険制度はオール現物給付である。
この点もコストを引き上げる結果となっている。
年金と同様に自由に使える現金給付を真剣に検討する必要がある。
