2018.02.13 国会集会2018へのメッセージ
生活援助サービスを全国平均件数を基準に制限することは
ケアマネジメントの専門性と利用者の選択権を危うくする!
2018年2月13日
日本ケアマネジメント学会理事研修委員長 服部万里子
訪問介護の生活援助をケアマネジャーを通じて回数制限!
介護保険の利用者は居宅サービス受給者の85.6%(257万2900人)が訪問介護サービスを受けている。訪問介護の中の生活援助は家族がいる人は利用できない。一人暮らしや家族が障害や要介護である場合に限られている。
ケアプランは利用者の介護の原因、年齢、痛みや治療を要する疾患、認知状態、地域や住宅の環境、家族の状況などにより、介護サービス内容、回数、時間をプランにする。在宅生活の継続を支え悪化防止に繋げるためである。それを全国平均の回数を基準にして制限することは妥当ではない。
生活援助の回数制限は、軽度要介護者の介護保険から外す方向でつながる
生活援助の件数を見ると、利用者は要介護1と2が71%である。認知症やひとり暮らしの生活を支える生活援助の制限は自費で受けるか、諦めるに通じる。
国は自分でできるように機能回復により受けないで(自立支援)というが、認知症が要介護になる原因のトツプであり、元気な人が生活援助を受けるのではない、保険者が介護が必要と判定した人が対象である。生活援助は介護報酬が4月から減額になる。訪問介護事業所も経営が更に圧迫される。
生活援助は無資格者に50時間研修すれば訪問介護員として数に換算するというが、前回の改訂でヘルパー3級を外し、今回は無資格者を導入することサービスの質の確保に逆行し、国の政策の一貫性にかける。
サービスの利用回数を全国平均数から制限すると、利用者の選択性は失われる
国は要介護度別限度額でサービス量を決めており、それを超えれば自費になる。介護保険の限度額の枠内でも全国平均の回数からさらに制限する「全国利用平均制限枠」を設けることは二重の規制であり、在宅生活の継続を危なくする。
介護保険法は「保険給付は、被保険者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、被保険者の選択に基づき提供される」とある、利用者の選択権が「個別状況と関係ない全国平均回数」を根拠に妥当性を市町村が検証することは妥当ではない。
ケアマネジャーは介護保険の要と言いながらケアプランを全国平均数でコントロールする事はケアマネジメントの専門性の無視に通じる。
4月から居宅介護支援事業所の指定、指導、監査は都道府県から市町村へ移る
今回のケアマネジャーを通じたサービス回数抑制は今後他のサービスに波及することが考えられる。指定権限者から睨まれたくないと思えば「届き出前にサービスを減らす」ケアマネジャーが出ないとは言えない。
誰のためのケアマネジャーか?
利用者支援の基本が揺らげば、要介護者を誰が支えるのか?サービス利用者の声を代弁し、この政策の見直しを求める。
以上
