CF010 『シッコ』(Sicko)

国民健康保険制度がないことで有名なアメリカ。]
マイケル・ムーア監督は、インターネットで医療保険について意見を募集した。
届いたメールは1週間で2万5千件という膨大なもの。
メールをもとにインタビューを重ねていくと、医療を必要とするアメリカ人は、病死か破産するしかない実態が浮かび上がる。
2億5000万人の医療保険の大半は、HMO(健康維持機構)の民間保険会社が管理している。
保険会社は治療不要と診断した医師に奨励金を出し、加入者には既往症が無申告だったとか、
治療前(救急車を呼ぶことも含まれる)に連絡することを条件にして、保険金を支払わないことに専心。
このため、市場原理にもとづく医療保険の国では、6人にひとりが無保険、年間1万8000人が治療を受けることなく死んでいくという。

国民皆保険にならない原因は、公的保険は「社会主義医療」で、共産化の第一歩というキャンペーンが長く展開されてきたためという。
医療に利用者負担がないカナダ、イギリス、フランス、キューバなども取材。
アメリカにも国民皆保険をと訴える作品だが、社会保障制度の規制緩和が声高に語られる日本でも参考になる作品。
(マイケル・ムーア監督/アメリカ/123分/ハピネット)

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