教えられる「戦争の真実」
高齢社会の長所のひとつは、胸にしまわれたままお墓に持っていかれるはずだった「戦争の真実」が語られること。
本作は、『痴呆性老人の世界』(1986年)や『住民が選択した町の福祉』(1997年)、『終わりよければすべてよし』(2006年)などでおなじみの羽田澄子監督の最新作。
監督自身、旧満州大連市で育った引揚体験者だが、ロシア国境に近くにいた満蒙開拓団の悲劇はよく知らなかったという。
国策により開拓団として旧満州に渡った日本人は約27万人で、帰国できずに死亡、行方不明になった人は8万人を超えるそうだ。
映画では、日本軍に見捨てられ、難民として逃避行中に取り残された中国「残留孤児」、ようやくの思いで引き揚げてきた人たちのインタビューが幾重にも重なる。
体験者はすでに高齢で、羽田監督も「ラストチャンスだった」と言う。
ハルピン近くの方正(ほうまさ)には、中国の人たちが建立した「方正地区日本人公墓」がある。
なぜ、中国の人たちは、農地を取り上げ、小作労働を強いた日本人の墓を建てたのか、なぜ文化大革命などの混乱期に墓が壊されることがなかったのか…。
日本の近現代史を改めて問う力作。
(羽田澄子監督/日本/2008年/120分/問い合わせは自由工房http://www.jiyu-kobo.com/)
本作は、『痴呆性老人の世界』(1986年)や『住民が選択した町の福祉』(1997年)、『終わりよければすべてよし』(2006年)などでおなじみの羽田澄子監督の最新作。
監督自身、旧満州大連市で育った引揚体験者だが、ロシア国境に近くにいた満蒙開拓団の悲劇はよく知らなかったという。
国策により開拓団として旧満州に渡った日本人は約27万人で、帰国できずに死亡、行方不明になった人は8万人を超えるそうだ。
映画では、日本軍に見捨てられ、難民として逃避行中に取り残された中国「残留孤児」、ようやくの思いで引き揚げてきた人たちのインタビューが幾重にも重なる。
体験者はすでに高齢で、羽田監督も「ラストチャンスだった」と言う。
ハルピン近くの方正(ほうまさ)には、中国の人たちが建立した「方正地区日本人公墓」がある。
なぜ、中国の人たちは、農地を取り上げ、小作労働を強いた日本人の墓を建てたのか、なぜ文化大革命などの混乱期に墓が壊されることがなかったのか…。
日本の近現代史を改めて問う力作。
(羽田澄子監督/日本/2008年/120分/問い合わせは自由工房http://www.jiyu-kobo.com/)
