まっすぐな人生
デヴィッド・リンチは「カルトの帝王」とも呼ばれる怖い映画のヒット・メーカーだが、本作は異色のハートウォーミング・ストーリーと言われる。
アイオワ州ローレンスで、中年の娘・ローズ(シシー・スペイセク)と暮らす73歳のアルヴィン・ストレイト(リチャード・ファーンズワース)は、目も足もちょっと不自由なお年頃。
ある日、3歳上の兄・ライルが心臓発作で倒れたという知らせが届く。
仲違いをして10年来、音信不通だった兄に会いたいが、車の運転ができない。
しかし、あくまでも自分の力で行くと決め、時速8キロのトラクターに乗り、560キロ離れた兄の住むウィスコンシン州マウント・ザイオンまで6週間の旅に出る……。
原作は、1994年に『ニューヨーク・タイムス』で紹介された実話という。
カウボーイハットにジーンズ姿のアルヴィンが、確固たる決意を胸に、ひたすら広大な中西部の直線道路をゆっくり進むロード・ムービーは、ストレイトという名前(本名)も含めて、幾重にも「まっすぐ」を描きだす。
アルヴィンを演じたリチャード・ファーンズワース(1920年生まれ)は、少年時代からロデオ大会で生活費を稼ぎ、西部劇『赤い河』(1948年)以降、名スタントマンとして活躍。
本作ではアカデミー賞主演男優賞に最高齢ノミネート。
しかし、映画公開の翌年、末期ガンを苦に拳銃自殺したことが報じられた。
ほのぼのしたなかに高齢者の強い意思を描く作品だが、主演俳優の最期に、60歳以上の年間自殺者1万人超の記録が続く日本を、その理由の筆頭が「健康問題」であることを考えてしまう。
(デヴィッド・リンチ監督/1999年/アメリカ・フランス/111分/ポニーキャニオン)
アイオワ州ローレンスで、中年の娘・ローズ(シシー・スペイセク)と暮らす73歳のアルヴィン・ストレイト(リチャード・ファーンズワース)は、目も足もちょっと不自由なお年頃。
ある日、3歳上の兄・ライルが心臓発作で倒れたという知らせが届く。
仲違いをして10年来、音信不通だった兄に会いたいが、車の運転ができない。
しかし、あくまでも自分の力で行くと決め、時速8キロのトラクターに乗り、560キロ離れた兄の住むウィスコンシン州マウント・ザイオンまで6週間の旅に出る……。
原作は、1994年に『ニューヨーク・タイムス』で紹介された実話という。
カウボーイハットにジーンズ姿のアルヴィンが、確固たる決意を胸に、ひたすら広大な中西部の直線道路をゆっくり進むロード・ムービーは、ストレイトという名前(本名)も含めて、幾重にも「まっすぐ」を描きだす。
アルヴィンを演じたリチャード・ファーンズワース(1920年生まれ)は、少年時代からロデオ大会で生活費を稼ぎ、西部劇『赤い河』(1948年)以降、名スタントマンとして活躍。
本作ではアカデミー賞主演男優賞に最高齢ノミネート。
しかし、映画公開の翌年、末期ガンを苦に拳銃自殺したことが報じられた。
ほのぼのしたなかに高齢者の強い意思を描く作品だが、主演俳優の最期に、60歳以上の年間自殺者1万人超の記録が続く日本を、その理由の筆頭が「健康問題」であることを考えてしまう。
(デヴィッド・リンチ監督/1999年/アメリカ・フランス/111分/ポニーキャニオン)
