CF020 『ディア・ドクター』

過疎地の偽医者

高齢化率50%を超える神和田村の診療所から医師が失踪した。
「月給2000万円だってさ」とつぶやく刑事。
「4年間も無医村で、医者探しに苦労したんだ」と嘆く村長…。
ミステリー風の導入から一転、失踪した医師・伊野和雄(笑福亭鶴瓶)の村での日々がコミカルに回想される。
研修医・相馬啓介(瑛太)の赤いスポーツカーに乗り、緑あふれる田園地帯を診察にまわる伊野と大竹看護師。
だが、交通事故で診療所にかつぎこまれた患者には、大竹の断固たる指導のもと、自信なさげに応急措置をするというちょっとおかしな行動も。
夫と死別した鳥飼かづ子(八千草薫)は農作業にいそしみながら、がんを予感する。
しかし、病院で死んだ夫と同じことはしたくない。
外で生活を築いている3人の娘の足は引っ張りたくない。
「一緒に嘘をついてください」と頼み込まれた伊野は、医学書と首っ引きでかづ子の在宅治療に取り組む。
ところが、娘のひとりは東京の大病院の専門医。
お盆で帰省した彼女にねつ造した診断書を見せ、いったんは納得させる。
でも、次に村に戻るのは1年後と聞いたとたん、伊野はバイクにまたがり、村から姿を消したのだった。
過疎地域の医師不足、薬品メーカーの売り込みなど医療問題にソフトに切り込みながら、実は熟年男女のほのかなロマンスを描くという、いかにも照れやな日本作品。
(西川美和監督/2009年/日本/127分/バンダイビジュアル)

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