現在、衆議院に提出されている介護保険法改正案
(介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案)への質問に、
厚生労働省老健局に回答してもらいました。(2011.04.25)
質問1 第2条「要介護状態等」について
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[質問1-1]
なぜ「要介護状態又は要支援状態」を「要介護状態等」に改めるのか?
[回答1-1]
極めて技術的な修正である。
現行法20条に「要介護状態又は要支援状態(以下『要介護状態等』という。)」とあるが、改正案第5条に地域包括ケアの理念規定が新設されたため、その前の第2条に出したものである。
質問2 第115条の45関係「介護予防・日常生活支援総合事業」について
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[質問2-1]
「介護予防・日常生活支援総合事業」の具体的事業内容はなにか?
[回答2-1]
制度成立以降、自治体の高齢者福祉への関心の低下を実感している。
また、介護予防と生活支援の線引きはできないので、市区町村が介護予防(訪問、通所)、生活支援(配食、見守り)、権利擁護、社会参加(アクティビティ、生きがい参加)など地域全体で高齢者の生活を支える総合的で多様なサービスをまとめて提供する事業として構想している。
「介護予防・日常生活支援総合事業」は使い方によっては可能性がある任意事業であり、自治体に広がることを期待している。
「介護予防・日常生活総合支援事業」は地域の自主性で実施するものであり、一律に実施を求めているものではない。
[質問2-2]
「介護予防・日常生活支援総合事業」の提供事業者は、具体的にどのように想定されているのか?
[回答2-2]
介護保険指定事業者でも企業でもNPOでも、市区町村が自由に決めることになる。
[質問2-3]
対象者に「居宅要支援被保険者」とあるが、要支援認定者のことか?
[回答2-3]
居宅で支援を受けている要支援認定者のことである。
[質問2-4]
「介護予防・日常生活支援総合事業」を実施する市町村に住む要支援認定者は、予防給付か市区町村事業かを選択する権利があるのか?
[回答2-4]
「介護予防・日常生活支援総合事業」の対象者は要支援認定者の状態像と本人の意向に応じて決めることになる。
[質問2-5]
「介護予防・日常生活支援総合事業」を実施する市町村に暮らす要支援認定者が、同事業の提供を拒否した場合、予防給付を利用することはできるのか? また、利用できない場合、同事業と重なる予防給付を利用することはできるのか?
[回答2-5]
「介護予防・日常生活支援総合事業」の対象者は、要支援認定者の状態像と本人のに意向に応じて決めることになる。
[質問2-6]
「介護予防・日常生活支援総合事業」を第5期事業計画策定に盛り込む市区町村はどのくらいあると想定しているのか?
[回答2-6]
わからない。
[質問2-7]
「介護予防・日常生活支援総合事業」を第5期事業計画策定に盛り込む場合、地域支援事業の予算は従来の3%なのか、あるいは3%以上の設定をするのか?
[回答2-7]
検討中である。
[質問2-8]
「介護予防・日常生活支援総合事業」は、「安心生活創造事業」との組み合わせを想定しているのか?
[回答2-8]
厚生労働省においては、特定の事業を想定しているわけではない。
[質問2-9]
厚生労働省は「安心生活創造事業」で、訪問介護、介護予防訪問介護の「生活援助」メニューを代替できると考えているのか?
[回答2-9]
[回答2-8]と同じ。
[質問2-10]
高齢独居世帯の見守り、買い物支援など、生活支援事業の利用状況について、実態調査はあるのか?
[回答2-10]
網羅的に把握しているわけではない。
「介護予防・日常生活総合支援事業」の追加質問への回答
[対象者]
・「介護予防・日常生活総合支援事業」の対象は、要支援1・2と介護予防事業対象者である。
・要支援1・2の全員が「介護予防・日常生活総合支援事業」に移るわけではない。
・適切なケアマネジメントにより、どういうサービスが適切か保険者と利用者で検討するものである。
[ケアマネジメント]
・「介護予防・日常生活総合支援事業」は地域包括支援センターのケアマネジメントにより提供される。
・要支援認定者の意向は最大限尊重されるべきだが、意向だけで決めるわけではない。
・ケアマネジメントに基づいてサービスが提供されるものであり、要支援認定者の意向だけで判断されるわけではない。
・予防給付のマイケアプランも市区町村の認定が必要である。
[事業内容]
・「介護予防・日常生活総合支援事業」に基づき提供されるサービスのパッケージ化の組み合わせ内容、提供事業者などは市区町村の自由である。
・「介護予防・日常生活総合支援事業」の事業所指定は複数でもかまわない。
・地域包括支援センターのケアマネジメント業務の居宅介護支援事業所への委託を可能とする予定である。
[財源]
・「介護予防・日常生活総合支援事業」は地域支援事業で実施するもので、一般財源化するものではない。上限3%を引き上げるのかどうかは検討課題である。
・「介護予防・日常生活総合支援事業」の財源には第2号保険料が入っており、予防給付と同じ財源構成である。
質問3 第8条「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」について
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[質問3-1]
「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の「訪問介護看護」とは、「訪問介護と訪問看護」のことか?
あるいは、「訪問介護看護」という新しいサービスなのか?
[回答3-1]
訪問介護と訪問看護が密接に連携したひとつのパッケージとした新しいサービスである。
[質問3-2]
社会保障審議会介護保険部会の『介護保険制度の見直しに関する意見』では「24時間対応の定期巡回・随時対応サービス」とあるが、「24時間」が削除された理由はなにか?
[回答3-2]
「24時間対応」を捨てたわけでも概念を変えたわけでもない。改正案文の作成にあたり、夜間対応型訪問介護は夜間に限定しており、「24時間」という表現は24時間しかやらないということを意味するとの観点から技術的な変更をしただけである。
[質問3-3]
「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の利用者、家族などの介護者の具体的なモデル像はどのようなものか?
[回答3-3
頻回訪問、医療ニーズの高い要介護者全般である。
[質問3-4]
「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」では、1日の訪問回数、通報回数をどの程度に想定しているのか?
[回答3-4]
介護報酬改定のなかで検証、検討することになる。検討会の報告書では要介護4・5で1日5~6回、多くても7回程度のモデル例が示されている。深夜帯はそれほど呼び出されないという結果だが、今年度予算でもモデル事業を実施する予定である。
[質問3-5]
「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」は、短時間の介護を想定しているようだが、時間のかかる食事介助・掃除・洗濯・散歩といった「生活援助」の内容は想定していないのか?
[回答3-5]
必要なタイミングに必要なサービスを提供するものであり、「生活援助」の提供も可能である。
[質問3-6]
「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」を利用する場合、訪問介護サービスによる支援が不可避な独居高齢者などが存在するが、訪問介護サービスとの併用は可能なのか?
併用できない場合、インフォーマルサービスを自己負担で利用することになるのか?
[回答3-6]
介護報酬改定のなかで、検討することになる。
[質問3-7]
「定期巡回・随時対応型訪問介護看護等」の指定権限は市区町村にあり、必要なら都道府県との協議もできるとされている。制度施行以来、市場競争が介護サービスの質を向上させるという説明を受けてきたが、保険者による質の向上に変わり、利用者の選択権をさらに狭めることになるのではないか?
[回答3-7]
日常生活圏域でのサービス提供を実現し、移動コストを縮小することでし、このサービスの普及を図ることにより、在宅の選択肢を広げるものである。
「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の追加質問への回答
[事業者指定]
・指定事業者の公募は、1事業者に限定するものではない。
・通常の指定か、公募による指定にするかは、自治体の判断に委ねられる。
・事業者の指定更新もあり、市場競争を阻む制度にしているわけではない。保険者が関与して事業者を選ぶということだ。
・公募による指定は、市区町村が実施することが可能になるツールとして提供するものだ。
[介護報酬]
・介護報酬の設定については、移動時間等を勘案して検討することが必要だと考えられる。
[ケアマネジメント]
・「適切なケアマネジメント」は誰がどう評価するのか難しい面はあるが、老健事業でケアマネジメントの実態調査中であり、介護報酬改定の資料とする。
質問4 第8条「複合型サービス」について
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[質問4-1]
小規模多機能型居宅介護と訪問看護の組み合わせ以外に、「その他の居宅要介護者について一体的に提供されることが特に効果的かつ効率的なサービスの組合せにより提供されるサービス」とは具体的にどのようなものか?
[回答4-1]
法律の趣旨に則り、介護報酬改定のなかで、検討することになる。
[質問4-2]
小規模多機能型居宅介護と在宅サービスを組み合わせるのは、サービスのパッケージ化と考えられるが、利用者のサービスを選ぶ権利が阻害されると考えられるが、利用者の権利についてはどうのように考えているのか?
[回答4-2]
医療ニーズの高い人の在宅生活の可能性、選択肢を広げるものである。
[質問4-3]
小規模多機能型居宅介護は創設以来5年間で、2600ヶ所、利用者4万7000人に留まっている。「在宅の限界点を上げる」とされているが、指定事業所を増やす対策を検討しているのか?
回答4-3]
自治体の独自報酬設定権の拡充等を考えている。
「複合型サービス」の追加質問への回答
・「複合型サービス」の試行事業はない。社会保障審議会介護保険部会の議論・報告書にもとづき、新設されたものである。
質問5 社会福祉士及び介護福祉士の一部改正案 「喀痰吸引等」について
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[質問5-1]
「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」の最終報告書が提出されたとの報道はされていないが、いつ出るのか。
[回答5-1]
制度設計上は2000年12月13日の『中間まとめ』が最終となる。検討会では試行事業の検証作業、安全対策などの検討が残るテーマとなる。
[質問5-2]
「喀痰吸引等」は医師、看護師、OT、PT、ST、及び介護福祉士(認定特定行為業務従事者)の独占業務と考えていいのか?
[回答5-2]
臨床工学技師を含めて業務独占である。
[質問5-3]
改正案文には「喀痰吸引等」とあるが、「喀痰吸引及び経管栄養」と明確化していない理由はなにか?
[回答5-3]
法律は代表するものだけで、細目は厚生労働省令で定める。『中間まとめ』では将来的な拡大の可能性を視野に入れるため、「喀痰吸引及び経管栄養」に限定していない。
[質問5-4]
「喀痰吸引等」という表現では、様々な医行為を介護福祉士(認定特定行為業務従事者)が行えるということか?
[回答5-4]
厚生労働省令で定める範囲で行なえる。
[質問5-5]
介護福祉士(認定特定行為業務従事者)による「喀痰吸引等」を「診療の補助」と位置づけると、医療現場においても条件(本人や家族の同意など)さえ整えば、介護福祉士(認定特定行為業務従事者)は「喀痰吸引等」を行うことができるのか?
[回答5-5]
『中間まとめ』では、医療機関には看護職員がいるので対象外とすべきとしている。資格者が登録事業所で行為を行うのが条件になる。
[質問5-6]
訪問看護師不足を補うために介護福祉士(認定特定行為業務従事者)による「喀痰吸引等」を「診療の補助」と位置づけるのであれば、「喀痰吸引等」を行う介護福祉士(認定特定行為業務従事者)の介護報酬は訪問看護と同等になるのか?
[回答5-6]
介護報酬改定で検討する。
[質問5-7]
准介護福祉士でも、「認定特定行為業務従事者認定証」の交付を受ければ、医療現場でも「喀痰吸引等」を行うことができるのか?
[回答5-7]
認定証の交付を受ければ可能だが、医療現場については除外されている。
[質問5-8]
特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホームにおける、夜間の看護師配置の義務づけをしない理由はなにか?
[回答5-8]
医療関係者との連携が改正のポイントであり、施行までに検討する。
「喀痰吸引等」の追加質問への回答
・「喀痰吸引等」は介護のなかに「医行為」が含まれるもので、「認定特定行為業務従事者」が医療機関で働くことは想定していない。
・「診療の補助」とは介護の一環として必要な「医行為」のことである。
・ホームヘルパー資格がなくても「認定特定行為業務従事者認定証」が交付されている者は可能である。
・ケアマネジャーが業務として「喀痰吸引等」を行うことは想定していない。
・介護福祉士だけでは現場のニーズに合わないため、「認定特定行為業務従事者」という登録制度を導入するものである。
・基準については今後、検討する。
質問6 第115条の35「介護サービス情報の報告及び公表」について
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[質問6-1]
「介護サービスの情報の公表」制度から調査情報を削除する理由はなにか?
[回答6-1]
制度については高い評価があり、意義が認められているが、事業所アンケートでは手数料負担が大きく、また調査も形骸化しているという批判もあるため、事業者負担軽減のため、調査機関による調査について、都道府県の任意とする。事業所が情報を報告するのは義務のままである。
[質問6-2]
愛媛県は2011年度の「介護サービスの情報の公表」制度について、「新たに介護サービスの提供を開始する事業者(新規事業所)のみを報告対象事業者とし、既存事業者は、報告及び調査を実施しない経過的運用」をするとしているが、「介護サービスの情報の公表」制度は都道府県判断で実施しなくてもいい制度なのか?
[回答6-2]
2011年度にインターネットのサーバーを国に一元化する予定であり、システム改修の都合で今年度は現行の情報をそのまま公表するということである。
質問7 第203条「大都市等の特例」について
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[質問7-1]
「都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるもの」は指定都市、中核市が処理するとあるが、具体的な「事務」の内容はなにか?
[回答7-1]
2010年6月の「地域主権戦略大綱」にもとづき、指定、報告、命令、立ち入り調査などを実施する。
