市民福祉情報オフィス・ハスカップは介護保険法改正案で新設が予定されている「介護予防・日常生活支援総合事業」について、4月26日、衆議院厚生労働委員会、参議院厚生労働委員会に所属するすべての国会議員に下記の要望書を提出しました。
介護保険法改正案についての要望書
「認定を受けた人がサービスを選んで利用する権利」を守ってください
2011年4月26日
市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰 小竹雅子
4月5日、国会に「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」(以下、改正案)が提出されました。
このなかで、地域支援事業に「介護予防・日常生活支援総合事業」(第115条の45関係)を新設することが予定されています。
地域支援事業は、2005年の介護保険法改正で創設された市区町村事業です。
介護保険財源で運営されていますが、介護保険サービス(給付)ではありません。
また、市区町村事業は予算が限定され、介護保険サービスのように必要に応じて補正予算を組むこともありません。
現在、地域支援事業の対象は、介護保険サービスを利用していない高齢者で、主に介護予防事業が実施されています。
改正案の「介護予防・日常生活支援総合事業」は、市区町村(保険者)が実施するかどうかを決めるとされています。
問題なのは、同事業の対象に要支援認定者(要支援1、2)が含まれていることです。
介護保険は社会保険であり、介護保険料を払う被保険者が介護認定により”保険事故”を認められ、介護保険サービスを利用する権利を与えられる制度です。
「介護予防・日常生活支援総合事業」が創設されると、同事業を実施する市区町村に居住する要支援認定者は、介護保険サービスを利用する権利を脅かされます。
また、「介護予防・日常生活支援総合事業」の内容と事業者は市区町村が任意で定め、事業と重ならない介護予防サービスは従来通り利用できる、という複雑な提案がされています。
つまり、同事業の対象となる要支援認定者は、サービス、事業者ともに選択する権利を失いかねません。
さらに、事業内容として「見守り、配食サービスなど」が例示されていますが、これはホームヘルプ・サービスの「生活援助」に該当し、在宅の暮らしを支える基本的サービスが除外されようとしています。
2006年度の介護報酬改定で、要支援認定者のホームヘルプ・サービス、デイサービスなどは月単位の定額制となり、実質的に利用量を減らされ、高齢の利用者はつらい思いをしています。
今回の改正案では、「介護予防・日常生活支援総合事業」を実施する市区町村に居住する要支援認定者は、ホームヘルプ・サービスすら利用できない事態に追い込まれようとしています。
介護予防サービスを利用する要支援認定者は80代以上が中心です。
介護保険料を年金から天引きされている被保険者の制度への不信感をこれ以上、拡大しないためにも、「介護予防・日常生活支援総合事業」について次の要望をいたします。
1. 「介護予防・日常生活支援総合事業」を創設しても、要支援認定を受けた被保険者には従来通り、すべての介護予防サービスを自ら選択し、利用する権利を保障する。
2.「介護予防・日常生活支援総合事業」を実施する市区町村は、その対象者を介護認定非該当、あるいは介護認定を受けていない被保険者とする。
