BF069 『おかげさま 介護弁護士流老人ホーム選びの掟』

著者は2009年、出張型介護・福祉系専門法律事務所「おかげさま」を開業。
ホームヘルパー2級を取り、介護弁護士として仕事をするかたわら、介護施設を訪問して手品や日舞などを披露するレクリエーション・ショーのボランティア活動もしている。
介護弁護士として飛び込んだ介護業界は「トラブルの温床」で、「想像以上に事態は深刻」だった。
本書では介護付有料老人ホームをテーマに、入居一時金などよくある契約書トラブル、介護事故をめぐる施設と利用者家族の対立などについて、典型的な事例を紹介。
介護事故による入院では、施設が加入する保険会社の査定が出るまで入院費用などは家族持ちでありながら、施設の入居費用は変わらず引き落とされることへの苦情が一番多いという。
事故そのものは、現場スタッフの待遇が「賃金面で絶望的に悪すぎる」ため、人材が定着せず、慢性的な人手不足の悪循環のなかで、スタッフがカバーしきれない事故が続出すると分析。
紹介事例のような悲劇を避けるには、情報収集の時期や体験入所の留意点、施設の「誠意」の具体的内容など「ホーム選び・五つの掟」があるという。
介護家族向けのわかりやすい解説書であるとともに、「介護の世界に裁判は適さない」ので介護に特化した紛争解決制度(ADR)が必要ではないかと問う。
(外岡潤著/ぱる出版/1470円)

投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ: