マンガ家として活躍し、アル中の元・夫を看取り、シングルマザーとして奮闘する著者による「正しくないけど役に立つ60のヒント」集。
「仕事にやりがいは感じますが、給料が安く生活が厳しいです」という32歳・男・介護士には、「こういう仕事が安いのは間違ってる」、「人手不足だから外国人を入れようって、もちろんそれ自体はいいんだけど、給料安いままで抑えたいから外国人使おうっていうのは変だよね」と正しくコメント。
国はアテにしていられないから「同じような仕事の嫁を探せ」とアドバイス。
お互いが支えあえば「厳しい」が半分になるし、「同じような仕事で同じような心根を持ってる奥さん」は無茶は言わないと激励。
「いつまでたっても親と仲良くできません」という48歳・男・自営には、「親子仲よくなくてヨシ」。
「親も年だし、そろそろ介護のことも考えなきゃ」というときは、親孝行よりお金の優先順位が高くなると指摘。
「だって、24時間介護してたら、仕事はどうするの?」、「自分や奥さんの生活はどうするの?」、「寝たきりでウンコを投げてくる人を素人が面倒見れるわけがない。そんなの共倒れになるだけです」とたたみかける。
「介護はプロしかやっちゃいけないんです。だから、そのためにもお金を貯めておかなきゃなきゃいけない」。
お金を貯められずに介護に突入した人には役に立たないが、若年層に対してはひとつの見識か。
前向きな率直な著者の人生観の原動力は、「借金(1億4千万円)があること」だという。
(西原理恵子著/文春新書/840円)
