「飛ぶ」勇気
行き詰った画家のリチャード(ケネス・ブラナー)は、ロンドンの町中で人間飛行機にチャレンジして失敗。
騒ぎを起こした罰として裁判所に言い渡されたのは、120時間のボランティア活動。
福祉センターで紹介された25歳のジェーン(ヘレナ・ボナム=カーター)は、MND(運動ニューロン疾患)という難病にかかり、言語障害のため発声器を使い、電動車イス、そして余命はわずか。
リチャードは、皮肉屋でわがまま、過激な言動のジェーンに手こずりながら、廃れた納屋を借りて、手製飛行機の製作に没頭する。
リチャードの飛行機を見たジェーンは、「私も重力から解放されたい」と一大決心。
彼女は、発病前にボーイフレンドにセックスを迫られ断ったことを後悔していた。
「私だって体験してみたい!」と迫られたリチャードは、「性体験をしたいのは君の問題。でも、協力しよう」と根負け。
ふたりは福祉機関に相談してまわるが、どこも協力してくれない。
ジェーンは「『プリティ・ウーマン』は無理でも『アメリカン・ジゴロ』ならできる」と高級ジゴロに依頼することを主張。
リチャードが交渉してみたが、2000ポンドの費用がかかるという。
873ポンドしか持っていないジェーンのために、リチャードは銀行強盗を計画するが…。
実在の女性のエピソードにもとづく作品らしいが、リチャードとジェーンのコミカルかつ真剣な姿は、障害があってもなくても、「飛ぶ」勇気の大切さを教えてくれる。
イギリスの障害者サービスが徹底的に本人主体であることも描き込まれた作品。
(ポール・グリーングラス監督/1999年/イギリス/103分)
