グループホームに暮らす母への「息子のまなざし」
著者は長崎で育ち、東京で出版社の仕事をしていたそうだ。
いろいろあって、故郷へUターンし父母と同居した。
今は、仕事の合間に週2~3回、母が入居するグループホームに通っている。
本書は「少しずつ忘れていく母」をマンガとエッセイでまとめたもの。
父なきあと母の認知症が進み、ときどき息子も忘れられるが、「ペコロス頭」のため思い出してもらえるのだという。
幼い頃の著者と母の思い出、若かりし両親のエピソードなども紹介され、「母ちゃんは 良かことも 悪かことも どんどん 忘れて どんどん 身軽に なっていく」ことが愛情深く、ユーモラスに描かれる。
母もまた、「私(うち)がボケたけん 父ちゃんが 現れたとなら ボケるとも 悪か事ばかりじゃ なかかもしれん」と息子に語る。
地元タウン誌の連載が評判になり自費出版から本格的な出版となった経緯もほほえましい。
(岡野雄一著/西日本新聞社/1260円)
