75歳の共同生活は”問題”を解決するか?
パリで暮らすジャンヌ(ジェーン・フォンダ)とアルベール(ピエール・リシャール)、アニー(ジェラルディン・チャップリン)とジャン(ギイ・ブドス)の2組のカップル、そして独身のクロード(クロード・リッシュ)は全員75歳で、お互いの誕生日を祝いあう仲良しグループだ。
ジャンヌは個性的な棺を物色し、認知症気味のアルベールは巨大な愛犬と散歩中に転んで入院。
社会運動家のジャンはデモで警官隊に無視されて落ち込み、アニーは孫の歓心を得るため庭にプールを作ることに熱中するなど、ユーモラスな日常に老いの気配は濃厚だ。
ある日、クロードが女友だちのアパートの階段で、心臓発作を起こした。
50歳の息子に「ひとり暮らしは無理だ。アパートを売って、老人ホームに入ったほうがいい」と主張され、反論もむなしく郊外の瀟洒な老人ホームへ入居。
残された4人はシャンパンを持って訪ねるが、ジャンは施設の風景を見て「大切な友をこんな所で死なせられん」と持ち前の正義感を発揮。
「みんなで一緒に暮らせば問題はなくなる!」とクロードを脱走させ、ジャンとアニーの一軒家に5人で暮らすことに。
大学生のディルク(ダニエル・ブリュール)はアルベールの愛犬のドッグシッターに雇われたが、高齢者の共同生活に「シニア人口の増加は侵略のようだ」と関心を抱き、研究テーマとして泊り込みインタビューをはじめる。
喜んで調査に協力する5人だが、物忘れが増えたアルベールはお風呂をあふれさせ、クロードはバイアグラの入手に懸命。
そして、ディルクは疎遠になった恋人に振られてしまった。
楽しくも騒々しい日々が過ぎていくが、実はジャンヌは重い病気を抱えながら手術を拒んでいた…。
人生のエンディングをどう過ごすのか、日本にも女性4人の共同生活を描く『シェアハウス』(喜多一郎監督)といった作品があるが、恋愛重視のフランス人は高齢期の性生活も率直に取りあげる。
妻の死を忘れたクロードがジャンヌを探しに出かけ、みんなでつきあうラストが悲しくも余韻に富んでいる。
(ステファン・ロブラン監督/2011年/フランス・ドイツ/96分)
