BF124 『黄落』

BF124 『黄落』
65歳の息子が妻とともに、92歳の父と87歳の母を介護する。
いわゆる「呼び寄せ介護」で、両親は歩いて10分ほどの家に暮らしている。
介護といっても週3日、妻が食事の用意に通い、息子はサブな立場。
だが、息子は会社勤めではなく、文筆業でほぼ在宅だ。
両親の介護をめぐる夫婦の確執は深まる。
妻のためにと思った離婚の申し出は、逆効果で、彼女の不信を買うだけだった。
やがて母は認知症が進み、父に殺意がにじむ攻撃性を見せはじめる…。
介護保険がはじまる直前の1999年に発表され、話題となった作品だが、20年以上たった今でも家族介護の現実に変わりはない。
知ってはいたが未読だった作品で、「全国の書店員の熱いエールをうけ、名所待望の復刊」の帯につられて手にとった。
介護をめぐる小説は20年のあいだに膨大な数にふくらんでいるが、これぞ私小説とうならせる。
(佐江衆一著/新潮文庫/630円+税)

投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ: