BF128 『へろへろ 雑誌『よれよれ』と「宅老所よりあい」の人々』
福岡市の「宅老所よりあい」は1991年、古い日本家屋のデイサービスからスタートした全国的に有名な介護拠点だ。
2005年の介護保険法改正で、在宅と施設のほかに地域密着型サービスという新分類が作られて、認知症グル―プホームなどが引っ越した。
その時、新たなサービスとして小規模多機能型居宅介護が登場したが、ホームヘルプとデイサービス、ショートステイを組みあわせたスタイルのモデルともされた。
著者はフリーの編集者だが、仕事の依頼がまるでなかったとき、「宅老所よりあい」から雑誌を作ってほしいと依頼を受けたのだという。
誌名は即座に、「老人介護施設には、ぼけを抱えたお年寄りたちが『ヨレヨレ』しながらたくさんいる。そういう施設が出す雑誌」だから『ヨレヨレ』になったという。
とはいえ、本書では、雑誌を創刊するまでの前史が長いのだが、介護とは無縁だった人がみた「宅老所よりあい」の姿が、魅力的で、楽しい。
「宅老所よりあい」が地域密着型特別養護老人ホーム「よりあいの森」をオープンさせるまでの、資金集め、書類申請などの奮闘ぶりも教えてもらえる。
「とても施設にはみえない施設」は「福岡初となる二階建て木造特養」という。
介護保険については「利用者や施設の意向からずれたものになっている。きっと何を言っても聞こえないふりをする横着なバカが作った制度なのだろう」と正しく、厳しく指摘。
地域に根差した活動を続けて来た「宅老所よりあい」の行動原理を知ることができる一冊。
(鹿子裕文著/ちくま文庫/800円+税)
