BF136 『デンマークの女性が輝いているわけ 幸福先進国の社会づくり』

BF136 『デンマークの女性が輝いているわけ 幸福先進国の社会づくり』
2000年に介護保険がスタートする前後、「高福祉」の国にモデルを求め、デンマークに視察に行く関係者がたくさんいた。
本書の著者ふたりは、デンマークで働き、家庭を持ち、いまは孫もいる。
長く北欧に暮らすふたりが、なかなか実現されない日本の「女性が輝く社会」や「働き方改革」などのヒントになることを願い、「女性が家庭と仕事を両立させて自分らしい人生をイキイキと生きて」いるデンマークの秘訣を解き明かすのが本書。
「女性と仕事」では、パートタイムの定義の違い(日本では非正規雇用を指すが、デンマークでは単なる短時間労働者で有給休暇など労働条件は正規雇用と同じ)、男女ともに給与保障される育児休暇制度などが紹介される。
デンマークといえども、家事分担の平等意識をつちかうには半世紀がかかっていること、女性が安心して働けるのは、労働組合のバックアップ、失業保険による生活保障が大きいことも教えてくれる。
第2章では、デンマークの女性たち、そしてデンマークで働く日本人女性たちにインタビュー。
なかでも、日本人に限らず、デンマークに暮らす外国人には語学学校への無償通学、手厚い奨学金による教育訓練が保障されいることに驚く。
デンマークは日本より一足早く高齢社会を迎えていたが、少子化に歯止めをかけるため、産前産後保障、カップルの多様性の認知、婚外子への平等など、政府をあげて改善策を進めてきたことも紹介される。
著者たちが子育てや孫の誕生で経験した学童も含めた手厚い保育システムは、その先に無償の教育システム、中高年のフリータイム活動まで続いている。
注目したのは、「親の収入に依存することなく、自分が学びたい教育を公費で受け」る社会システムだ。
ひきこもりや「8050問題」に直面する日本では、「子の収入に依存することなく」とともに、検討に値するのではないかと思う。
デンマークの女性は自立心が強く、社会保障制度もどんどん活用するし、政治や社会問題にも関心が高い。
とはいえ、ここまで来るには、デンマークの女性たちの不断の闘いがある。
第4章には年表がまとめられている。
1871年に「デンマーク女性連盟」が設立され、選挙権を求める運動がスタートし、1908年に地方選挙権、1915年に国政選挙権を得た。
労働分野では、1919年に公務員の男女同一賃金が実現している。
最後に著者たちが思い至るのは、日本でも女性運動は展開されてきたが、「個々の人の活躍が、一つのまとまったうねりにまで結集されていない」という事実だ。
社会問題を解決するには、「人びとの意識」と「制度」が両輪で動かなければならない。
著者たちの日本への歯がゆい思い、これからの社会変革の一助になればという思いが伝わる一冊。
(澤渡夏代ブラント・小島ブンゴード孝子著/大月書店/1800円+税)

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