「高齢社会をよくする女性の会・大阪」から9月19日、厚生労働省令改正案についてのパブリック・コメントに提出した意見書が届きました。
「介護保険法施行規則の一部を改正する省令案について(概要)」への意見
2020年9月19日
高齢社会をよくする女性の会・大阪
今回の厚生労働省の省令改正案は、総合事業を利用している(利用させられている)要支援者が、要介護利用者になった場合、利用者が希望すれば市町村の判断で引き続き総合事業を利用することができるということであり、総合事業という名目で、保険の趣旨を逸脱する自治体への負担強化と介護保険からの支出を抑えようとの意図が明白である。
これは、介護保険給付を受けることが出来るという被保険者の基本的な権利に対する明確な侵害であり、要支援者も要介護者も共に介護保険の被保険者であり毎月保険料を支払っている。にもかかわらず保険給付を受給する権利を更に制限し、「保険あって給付なし」という実態を作り上げようとすることは、介護保険潰しにつながる。
これは、この間、厚生労働省から繰り返し提起されてきた「いわゆる軽度者の切り捨て、総合事業の適用範囲を要介護1・2にまで拡大しようとする」ことへのなし崩し的実施である。
特に訪問介護における生活援助の軽視は、重度化防止への逆行である。
要介護者への総合事業適用を実施しないことを改めて、強く要望する。
この基本的立場に立って、「介護保険法施行規則の一部を改正する省令案について(概要)」への個別項目の意見は、以下の通りである。
1.改正の趣旨
(1)第1号事業に関する見直し
① 第1号事業の対象者の弾力化
・そもそも,総合事業の対象者は「要支援者」だったはず。
なぜ、見直すのか、検証もないままで、根拠がない。
・「本人の希望を踏まえて」ではなく「本人の希望を実現する立場で」当事者が判断できることが大事。
・「要介護」になっても介護保険の支出を抑える狙いか?
・「地域とのつながり」とは?
総合事業に移ればできるものか?
② 第1号事業のサービス価格の上限の弾力化
・「弾力化」とは、誰にとっての「弾力化」か?
市町村の創意工夫の余地があるのか?
・財政の国から地域への移転が狙いでは?
・要介護1、2を総合事業に移すことで、介護給付の削減が狙い。
要介護を3、4、5に縮小する狙いと受け取れる。
これは、介護保険の趣旨に悖る。自治体間格差が一層広がる。当該事案を取り下げるべき。
(2)在宅医療・介護連携推進事業に関する見直し
・要支援1、2の要支援者への取り組み内容を十分検証した後に見直すべき。
・医療・介護関係者に対する支援は、実施するための体制の保障や人的・財政的支援を行うこと。
2.改正の概要
(1)第1号事業に関する見直し
① 第1号事業の対象者の弾力化
・「本人の希望を踏まえて」ではなく、「本人の希望を実現する立場で」とすべき。
・要介護者にとっての「地域とのつながり」とはいかなるものか?
・要支援者、要介護者が同一施設で介護を受けている場合も多くあり、その際の「地域とのつながり」とはどのようなものか?一緒ではないのか?
② 第1号事業のサービス価格の上限の弾力化
・市町村が行っている総合事業は、ほとんどがA型であり、地域ボランティア主体のB型は一部の地域以外では成り立っていない。
まして、コロナ禍ではこれまでの地域主体のボランティア活動のほとんどが機能していない。
「本人の希望を踏まえて地域とのつながりを継続する」というのは、実態を無視した机上の空論である。
見直しの意図する目的は要介護1、2を軽度者とするための布石だとしか思えない。
(2)在宅医療・介護連携推進事業に関する見直し
・「在宅医療及び介護が円滑に切れ目なく提供される仕組み」とはいかなるものか?
・提案されている見直しは、それが実施できる体制整備とその裏付けとなる財政的・人的支援の保障がなければ達成できない。介護職への研修取り組みを充実されたい。
・介護職の人員不足は深刻だ。改善策が必須の状況だ。
以上
