BF161 『パンデミック監視社会』

BF161 『パンデミック監視社会』
新型コロナウイルス感染症は監視社会化を加速している…という警告に興味を持って読んだ。
「監視を使って感染症の流行に対処する」という方法には、19世紀中頃のロンドンで大流行したコレラの原因追及にはじまり、長い歴史があるそうだ。
「パンデミック」はすべて(pan)の人びと(demos)を冒す病気のことで、「世界的大流行」ともいう。
公衆衛生における「監視」とは、「保健関連データを継続的、組織的に収集、分析、解釈すること」で、疾病の予防と管理をはかるもの。
これだけならいいけれど、「公衆衛生監視」のために収集された個人情報が、感染制御だけでなく、犯罪捜査にも使った国もある。
21世紀のパンデミックの特徴は、「監視資本主義」が広がる世界で起こったことにあるという。
多くの国の政府には、デジタル技術を開発する力はなく、先進技術を開発する民間企業と協力関係を結ぶしかない。
ビッグデータを収集する民間企業は、すでに、取るに足らないようにみえる個人情報から利益を得る方法を見つけているという。
政府と提携する彼らが保健関連データにアクセスしないという保障がどこにある?
おまけに現代は、信仰にも等しい「テクノソリューショニズム」が人をひきつけるという。
「ソリューショニズム」ってなんだろう?
インターネットでは、「エンジニアによる近視的な課題解決の危険性」という説明があった(NIRA研究報告書『デジタル化時代の地域力』宇野重規編著)。
日本だと「政府による近視的な課題解決の危険性」かな。
スマートフォンなどモバイル端末による接触確認システムは70カ国以上で導入されたそうだが、日本のCOCOAは失敗した。
納税者としては税金が活用されなかったことは惜しいが、失敗してよかったんじゃないかと思う一冊。
(デイヴィッド・ライアン著/ちくま新書/840円+税)

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