CF090 『シャーリー&ヒンダ ウォール街を出禁になった2人』

CF090 『シャーリー&ヒンダ ウォール街を出禁になった2人』 
TWO RAGING GRANNIES
「なぜ、経済は成長しなければならないの?」
シャーリー(1922年生まれ)とヒンダ(1929年生まれ)は、シアトル郊外に暮らす仲良し。
歴史ある市民活動団体「レイジング・グラニーズ」(怒れるおばあちゃんたち)のメンバーで、電動カートを乗りこなし、ホームレスに衣類を配るなど、元気いっぱいだ。
ある日、ふたりはオバマ大統領の「経済成長を早め、仕事を増やし、給与を引き上げる」という演説に、「物が増えて幸せなの?」と疑いを抱く。
まずはシャーリーの母校・ワシントン大学の経済学を聴講。
だが、「なぜ、経済は成長しないとダメなの?」という質問に答えてもらえず、追い出されてしまう。
めげることなく、物理学のアルバート・バートレット教授を訪ね、「世界の資源には限りがあり、無限に成長することはできない」、「全人類がアメリカ人並みに消費するには、地球が4~5個は必要」と教えられる。
でも、テレビもラジオも、エコノミストも経済学者も「経済の成長が必要」の大合唱。
疑問がふくらんだふたりは、「この国を牛耳っている人に会わなきゃダメよ」とニューヨークへ。
まず、事前学習に、エコロジー経済学のジョシュア・ファーレイ教授から「量的成長が終わったら質的成長に移り、貧しい人にも公平に分ける段階に入るべき」なのだと、「定常状態システムの3つのルール」を教えてもらう。
「素晴らしいわ!」、「考えたら常識だわ!」と勇気を得たふたりは、財界セレブが集まる「ウォールストリート・ディナー」に乗り込む(一般人もネットで申し込めるのにびっくり)。
演壇に近づいたシャーリーは「どうして成長が必要なの?」と訴えるが、あっという間にガードマンに排除される。
隠しカメラで撮られた「くたばれ、このクソババァが」という罵倒がすごい。
シアトルに戻ったふたりは、「こんなやり方じゃダメなのよ」、「私たち年寄りは先が長くない。不毛な成長を止めないと」と更に奮起する…。
あくまでも前向きなふたりの抜群の行動力に楽しくなるとともに、日本の「経済成長路線」も考えたほうがいいと思わせられる作品。
(ホバルト・ブストネス監督/2013年/ノルウェー・デンマーク・イタリア/82分)

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