CF123 『妻の愛、娘の時』
相愛相親/Love Education
お墓をめぐる三世代の落差
フイイン(シルビア・チャン)の母が、病院で息を引きとった。
臨終に立ち会ったのは、夫と娘・ウェイウェイ(ラン・ユェティン)だ。
母の最後の言葉は聞き取れなかったが、フイインは先に亡くなった父と合葬することだと思い込む。
ところが、父には先妻・ツォン(ウー・イエンシュー)がいた。
90歳になった彼女は、農村で暮らしている。
ツォンは17歳で父と結婚した。
しかし、飢饉にみまわれ、夫は新婚半年で出稼ぎのため村を去った。
定期的な送金はあったが、町でフイインの母と結婚してしまい、遺骨となってようやく戻って来た。
戦争や革命の混乱が背景にあるようだが、とにかくフイインは、両親を町で合葬しようと躍起になる。
だが、村人たちは妻の座を守ってきたツォンの許可なく、勝手にお墓を移すのに猛反対。
ツォンとフイインはそれぞれ、正当性を主張するため、行政を相手に結婚証明書の取得に奮闘する。
一方、テレビ局に勤めるウェイウェイが、興味本位のバラエティ番組にふたりを出すように言われて協力したことから、事態は大きくこじれていく…。
急激な経済成長が進む中国だが、開発が急ピッチの都市部と牧歌的ともいえる農村、大学出の中学校教師であるフイインと「貞節」を守ってきたツォン、両親との同居から脱出しようとするウェイウェイの恋愛など、三世代の女性のライフスタイルの大きな落差がからみあう。
中国では65歳以上の高齢者人口は1億6,658万人(!)で、日本とは文字通り桁違い。
高齢化率は11.9%とはいえ、一人っ子政策で家族支援が弱体化するなか、高齢者への公的な支援は不十分という。
日本でも少子化のため、お墓の継承が課題になって久しいが、中国における法律と慣習、家族と個人といった葛藤の量的なスケールを想像して茫然とした。
(シルヴィア・チャン監督/2017年/中国・台湾/120分)
