CF135 『男と女 人生最良の日々』
Les plus belles annees d’une vie
53年後に出会う恋人たち
1966年、日本でも話題になった『男と女』。
映画は知らなくても、フランシス・レイのテーマ曲を聴いたことがある人は多いはず。
そして、監督をはじめ、子役も含めた俳優も、みんなが歳月を重ねた53年後、同じメンバーで作られたのが、老後編というべき本作。
今回、元になった作品を初めて観たが、カーレーサーの男と映画スタッフの女が、どちらも劇的な事件で配偶者を失い、ともに子連れで出会う姿がスタイリッシュに描かれている。
半世紀以上前に世界中をうっとりさせたカップルは、浮気症の男(ジャン=ルイ・トランティニャン)のせいで、あっけなく終わっていた。
女(アヌーク・エーメ)は再婚したが、またも夫に先立たれ、相変わらず働いている。
恋愛至上主義とも言われるフランス人だが、リアリストでもある。
なので、半世紀後の男は認知症。
老人ホームで「最悪のなかのベストだ」とむっつり暮らしている。
華麗な女性遍歴のなかで、繰り返し思い出すのは女のこと。
彼の息子は女を探しだし、父親に会ってほしいと頼みこむ。
最初はとまどった女だが、自分のことばかり男が話していると聞いて、心を動かされる…。
個性派美人だったアヌーク・エーメ(1932年生まれ)は堂々たる存在感だが、ジャン=ルイ・トランティニャン(1930年生まれ)の演技力には恐れ入った。
老人と侮辱されるたびに、拳銃をぶっ放す妄想もコミカル。
なお、日本でも人気があった作曲家のフランシス・レイ(1932年生まれ)は、本作が遺作となった。
映画はフィクションだが、制作も配役も同じという奇跡的な作品は、ドキュメンタリーにも思える不思議な印象を与える。
(クロード・ルルーシュ監督/2019年/フランス/90分)
