CF140 『コンプリシティ 優しい共犯』
さすらう若者と孤高の職人の出会い
チェン・リャン(ルー・ユーライ)は、中国・河南省から技能実習生として来日したが、仕事の過酷さに逃げ出した。
仲間たちとやくざな稼業でしのぐ日々だが、時折、故郷の母親から「ちゃんと勉強しているか」と電話がある。
彼の父親は早くに亡くなり、母親は身体が不自由で、祖母が暮らしを支えていた。
渡航費用の借金は、働けばすぐに返せる。
3年間勉強すれば、父親が残した町工場を再建できる…。
そんな技能実習生の誘いに、祖母に無理を頼んでお金を用意してもらい、日本にやって来たのだ。
不法滞在者になったなんて、とても言えない。
ところが、リャンの持つスマホには、前の持ち主、リュウ・ウェイへの就職口の連絡が何度も届く。
切羽詰まったリャンは、ウェイになりすまして、山形に向かった。
老境の井上(藤竜也)が営むのは、地元で評判の蕎麦屋。
だが、自営業の後継者難はいずこも同じ。
実の息子に廃業を迫られるなか、中国の青年が蕎麦職人を志願してきた。
日本語がつたなくたって、大歓迎だ。
リャンは嘘がばれるのに怯えつつ、無口な井上の好意を感じて、仕事を学んでいく。
しかし、出前に行った先でチャーミングな葉月(赤坂沙世)と出会い、デートをしたことから、事態が暗転する…。
技能実習制度は国際関係の強化が目的だが、日本語研修がなく、所定外労働を求められ、「安い労働力」として悪用されて、リャンのように「行方不明」になる者もいる。
2017年から、同制度に「介護」も追加されたが、実態はどうなっているのだろう。
技能実習生のバックグランドに、想像力を持つことを問われる作品。
(近浦啓監督/2020年/日本/106分)
