CF146 『アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール』

CF146 『アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール』
The Music of Silence
自分の才能を信じるには…
「世界最高峰のテノール歌手」と賞賛されるアンドレア・ボチェッリは、テレビで聴いたことがある。
付き添いの人に誘導される姿を観て、目が不自由なのかなと思ってはいた。
本作はボチェッリ自身が脚本に協力し、ほとんどの曲を歌っている自伝的音楽映画。
1958年、イタリアのトスカーナ地方のワイン農家に生まれたアンドレアは、先天性の視覚障害があった。
ぼんやりとしか見えなかったのが、盲学校で、サッカーの練習中に事故に会い、完全に失明する。不満の塊となったアンドレアは、両親に反抗してばかり。
そんな彼をジョヴァンニ叔父さんが音楽コンクールに誘う。
美しいボーイソプラノで見事、優勝。
歌手になると心に決めるが、変声期を迎え、また落ち込む。
しかし、障害者向けの仕事はまっぴらだ。
法律家をめざしてエリート高校に入学。
教師は冷ややかだが、ギターが趣味の親友を得た。
バンドを組み、クラブでピアノの弾き語りのバイトをし、夜遊びをする。
当然、成績はふるわない。
母親は、元銀行員のエットレさんに協力を頼む。
なんと、誠実なエットレさんは、高校、大学とすべての教科書を朗読し、テープに録音してくれた。
おかげで、弁護士の資格を得ることができた。
アンドレアは結婚し、経済的な自立を求めて、昼は法廷、夜はクラブのバイトを続ける。
そんな彼に、ピアノの調律師が「君にはたぐいまれな才能がある。オペラをやるべきだ」と声をかけた…。
家族の愛情や恋、厳しいオペラ歌手のトレーニングから遅咲きの成功に至るドラマは見応えがある。
印象に残るのは、歌が大好きなイタリアのふつうの人たちだ。
心ない人もいるが、同じくらいさりげないやさしさの持ち主が見え隠れしている。
豊かな声量のテノールを聴きながら、市民社会の知性を考えた作品。
(マイケル・ラドフォード監督/2017年/イタリア/115分)

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