CF161 『コーダ あいのうた』

CF161 『コーダ あいのうた』
CODA
家族のなかで、ひとりだけ聴こえる
ルビー(エミリア・ジョーンズ)は、早朝から家族総出のトロール漁船で水揚げを手伝う元気な高校生。
船のエンジン音に負けない声でブルースを歌っても、父・フランク(トロイ・コッツァー)と兄・レオ(ダニエル・デュラント)には聴こえない。
そして、港で待つ母・ジャッキー(マーリー・マトリン)にも。
聴覚障害のある家族のなかで、ルビーだけが聴こえる。
だから、仲買人との交渉にも手話通訳を担当。
家族は陽気で、団結力が強く、社会と少々トラブルがあってもへこたれない。
学校でのルビーは、マイルズ(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)が気になる。
彼が合唱部に入ったので、つられて入部。
ところが、彼女は聴こえる人たちの前で歌ったことがなかった(!)。
おじけづくルビーだが、顧問のヴィラロボス先生(エウヘニオ・デルベス)が、彼女の資質に気づく。先生は音楽大学への進学を勧め、マイルズと一緒に特別レッスンを受けることになった。
一方、家業のほうは政府から漁獲制限をかけられ、父が「魚は自分で売る」と宣言。
さまざまな交渉で手話通訳に駆り出されるルビーは、レッスンに遅刻してばかり。
先生に怒られ、ついに音楽大学に進学したいと家族に打ち明ける。
だが、不幸なことに家族にはルビーの歌声は届かない。
母には頼りにしているのにと、家を離れることを猛反対されて…。
才能を見出された子どもが夢の実現に一歩踏み出す物語だが、ルビーが抱える家族との障壁は、聴こえることにある。
とはいえ、取り上げられる歌の数々は楽しく、ちょっと荒っぽい漁師一家という設定も興味深い。
なお、「コーダ」というタイトルは音楽の最後の部分のことだと思っていたら、「Child of Deaf Adults」の略語で、「ろう者の親を持つ健聴者」という意味。
母親役のマーリー・マトリンは聴覚障害があり、1986年、『愛は静けさの中に』(ランダ・ヘインズ監督)でアカデミー主演女優賞を受賞。
当時、デフ・シアターという演劇活動を教えられたが、本作では当事者が全員プロの役者たちとのこと。裾野の広がりも感じた。
(シアン・ヘダー監督/2021年/アメリカ/112分)

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