CF162 『ぶあいそうな手紙』

CF162 『ぶあいそうな手紙』
Aos olhos de Ernesto
若い娘の目からみれば…
ブラジル南部、大西洋を望むポルトアレグレのアパートに暮らすエルネスト(ホルヘ・ボラーニ)は78歳。
毎朝、隣家のハビエル(ホルヘ・デリア)に、「どうせ、読めないじゃないか」と新聞を読まれてしまう。
ふたりは共に隣国、ウルグアイの出身で、長いつきあいだ。
カメラマンとして活躍したエルネストだが、妻に先立たれ、視力の衰えが進んでいる。
離れて暮らすひとり息子は同居を誘うが、断固拒否。
だが、ウルグアイのかつての恋人・ルシアから届いた手紙が読めない。
ブラジルの公用語はポルトガル語だが、ウルグアイはスペイン語。
なので、ハウスキーパーの女性はギブアップ。
ハビエルは当然、読めるが、からかわれるのが嫌なので、絶対に読んでもらいたくない。
そんなとき、犬の散歩のアルバイトのためアパートに通うビア(ガブリエラ・ポエステル)と知り合った。
ビアはホームレスで、嘘ばかりつく23歳。
こぼれ落ちそうな大きな瞳の女の子だが、つきあう男はかなりろくでなし。
だが、手紙をみせると、たどたどしいが、ポルトガル語が読める。
彼女が信頼できるか、エルネストが家のなかで繰り返しお試しする「お年寄りの知恵」には笑ってしまった。
手紙の相手は夫が亡くなったことを告げ、青春の友に会いたいと書いてきた。
ビアは手紙を一行読みあげては、エルネストに質問攻め。
返事を代筆するときも、堅苦しい表現はすべきじゃないと過剰介入。
しかし、ビアに代読・代筆を頼み、一緒に散歩をして、路上ライブでお気に入りの詩を暗誦し、エルネストは青春時代を懐かしむだけでなく、気持ちを若返らせることができた…。
異世代交流だけでなく、エルネストとハビエルの友情も巧みに描かれ、老いて不自由になってもなお、一歩を踏み出すラストシーンがほほえましい。
ポルトガル語とスペイン語の違いがわかると、もっと味わいが違うのかも知れないが、軍政下にあったウルグアイからブラジルに逃げた人たちがいることや、作中に登場する小説『休戦』の作者、マリオ・ベネデッティというウルグアイの詩人のことも教えられた。
(アナ・ルイ―ザ・アゼベード監督/2019年/ブラジル/123分)

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