BF047 『介護漫才 筋ジストロフィー青年と新人ヘルパーの7年間』

 著者は10歳のときに筋ジストロフィーと診断され、14歳から自力歩行不能となった。しかし、大学卒業後、単身渡米し、大学院を修めるとともに、ジョイスティック車でアメリカ一周を敢行。現在は、障がい者の音楽コンテスト「ゴールドコンサート」を主催しながら、執筆活動などを続けている。
 本書は2006年、新人ヘルパー・上島亜由美さんを採用してから、著者と交わした会話を連載したブログをまとめたもの。
 ふたりの「ユルくておかしい」やりとりを紹介しながら、日常生活の大部分に介助が必要な人の暮らしぶり、段どりのよさや次の工程を予想する力が求められるヘルパーの仕事をわかりやすく紹介する。
 「介護の現場が苦しい」理由の第一は、公的な給付が少なすぎること。ヘルパーは生計を維持できないし、家族介護には給付は一切ない。
 東京都の「全身性障害者介護人派遣サービス」、支援費制度などを利用しながら100人を超えるヘルパーとつきあってきた経験をもとに、介助される側(利用者)の自立心――「何をしたいか」という意志――が大切だと説く。
(貝谷嘉洋著/小学館101新書/735円)


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