BF163 『メガバンク銀行員ぐだぐだ日記』

BF163 『メガバンク銀行員ぐだぐだ日記』
銀行にキャッシュディスペンサー(現金自動支払機)やATM(現金自動預払機)が普及して、窓口の女性たちと会話することもなくなって久しい。
本書は男性の営業を担当する現役行員の日記で、まず知ることない世界。
職員じゃなくて、行員というのですね。
のっけからシステム障害の対応に追われる苦労話で、まるでみずほ銀行みたい。
これまでいくつもの銀行が統合されて名前が変わっているけれど、著者の銀行も世界最大の銀行グループとして統合されたときから、ATMが続々と動かなくなるシステムトラブルに見舞われたという。
テレビをみるほうが情報が早かったというから、日本全土を覆う非合理的なシステムが銀行にもある、というか銀行こそ非合理の牙城だということがよくわかる。
いつ復旧するか不明のまま、顧客対応に追われたエピソードは同情できるところもあるけれど、「銀行の常識は、世間の非常識」という職場に耐え続けている。行員の結婚式のルール、突然の人事異動などはまだしも、同僚が10億円の融資案件を獲得したのに支店長が顧客が気に入らないからと蹴とばすパワーハラスメントにはびっくり仰天。まさに「ブルシット・ジョブ」。
常に出世競争にさらされる世界を読まされていると、居酒屋で呑んでいる男性諸氏が思い浮かぶ。家で待つ妻子をかえりみず、アルコールでストレスを流し去らねば、翌日出勤できない職場環境が日本経済の停滞に寄与しているのではないか。
東京商工リサーチの調査では、銀行員の平均年収は606万6,000円。
納税者の平均年収433万1,000円にくらべたら、とてもうらやましい数字になる。
だけど、「ディーセント・ワーク」(働きがいのある人間らしい仕事)からはほど遠い。
こんな不幸な人たちが運営する組織にお金を預けていてだいじょうぶだろうかという気分になる一冊。
(目黒冬弥著/三五館シンシャ/1300円+税)

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