カテゴリー: 書籍紹介
  • BF049 『どうせ、あちらへは手ぶらで行く』

     最愛の妻を想うエッセイ集『そうか、もう君はいないのか』(新潮文庫)を遺した作家は長年、『文化手帳』に短い日記やメモを残していた。 本書は娘がまとめた作家が71歳(1998年)から79歳(2006年)…

  • BF048 『紅梅』

     東日本大震災で注目された『三陸海岸大津波』の著者・吉村昭は、2006年に膵臓がんで亡くなった。点滴の管を自らはずした壮絶な最後だったとの報道が記憶に残る。  著者は吉村の妻であり、小説家として創作上…

  • BF047 『介護漫才 筋ジストロフィー青年と新人ヘルパーの7年間』

     著者は10歳のときに筋ジストロフィーと診断され、14歳から自力歩行不能となった。しかし、大学卒業後、単身渡米し、大学院を修めるとともに、ジョイスティック車でアメリカ一周を敢行。現在は、障がい者の音楽…

  • BF046 『宅老所よりあいの仕事 生と死をつなぐケア』

     福岡市の「宅老所よりあい」は、お寺の茶室からスタートした。20年がたった今、宅老所のほか、認知症デイサービス、グループホームなども運営している。 本書は「よりあい」が利用者に最期まで寄りそった事例を…

  • BF045 『月夜にランタン』

     戦後私小説は男性作家の「望まない妊娠」との遭遇がテーマ、と喝破したビュー作『妊娠小説』(ちくま文庫)以来、歯切れのよい書評を続けてきた文芸評論家の一冊。 本書では2006~2010年にかけて、政治か…

  • BF044 『看護崩壊 病院から看護師が消えてゆく』

     2011年の改正介護保険法では財源確保が不透明なまま、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、複合型サービスというふたつの新サービスが創設された。 どちらも訪問看護師の在宅派遣を強化するものだが、そんなに…

  • BF043 『普通をだれも教えてくれない』

     哲学と倫理学を専門とする著者のエッセイ集だが、文章は身近に感じられる。 神戸児童虐殺事件や阪神淡路大震災、不況による就職難など80年代から近年までの社会事象に触れながら思索を深めていく。個人的には、…

  • BF042 『空也上人がいた』

     大学の経済学部を出た中津草介は就職難で、ホームヘルパー2級の資格をとり、「選択の余地なく」特別養護老人ホームで働いていた。ある日、疲れてへとへとになり、蓮見さんを車いすから放り出してしまった。 認知…

  • BF041 『死ぬための教養』

    「死の恐怖から逃れるための最大の処方箋」だった宗教が力を失った日本で、 「自分の死を平穏に受け入れる」ための必須アイテムは「教養」だけと著者は断言する。 本書は、著者45歳が急性胃潰瘍で、生まれて初め…

  • BF040 『わが母の記 花の下・月の光・雪の面』

    『あすなろ物語』や『氷壁』(ともに新潮社)など 長編小説、エッセイなど膨大な作品を残した作家が 1964年から10年間に発表した「随筆とも小説ともつかぬ」作品。 著者の母親が80歳のときに書いた『花の…