CF016 『アウェイ・フロム・ハー』 Away from Her

フィオーナ(ジュリー・クリスティ)とグラント(ゴードン・ピンセント)は
結婚生活44年目。
湖のほとりに住み、一緒にクロスカントリーに出かけ、
家事をし、読書するのを日課とする、仲むつまじい知的カップル。
しかし、穏やかな暮らしは、
フィオーナがフライパンを冷蔵庫にしまうなど
初期認知症の傾向が現れて、急変する。
凍てつく冬の夜をさまよう妻をグラントは必死で探す。
そして、事態を冷静に理解したフィオーナは、
みずから介護施設に入る決心をする。
本人が慣れるまで面会を1カ月間、我慢した言われたグラントが
訪ねてみると、フィオーナは彼を夫とは認めず、
車いすの入居者・オーブリー(マイケル・マーフィー)を
「初恋の相手」だと恥ずかしげに打ち明けた。
驚き、困惑するグラントは、介護スタッフから説明を聞き、
妻の変化を受け容れようと日参する。
だが、入居費用の負担に耐えられなくなった
オーブリーの妻・マリアン(オリンピア・デュカキス)は、
夫を自宅に連れ帰ってしまった。
動揺激しく、衰弱するフィオーナをみかねたグラントは、
ある決意を抱いてオーブリー夫妻の家を訪ねる…。
静謐な自然を背景に、病んだ人もそうでない人も
孤独から逃れようと必死に生きていることを教えてくれる作品。
原作はカナダの「短篇の女王」、
アリス・マンローの『クマが山を越えてきた』(新潮社『イラクサ』収録)で、
映画とひと味違う細やかなニュアンスが楽しめる。
(サラ・ポーリー監督/2006年/カナダ/110分/CCRE)


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