困窮と孤独の老後
第二次世界大戦が終わって間もないイタリア。
日本と同じく敗戦国の人びとは貧しく、高齢者たちは年金引き上げのデモをして、警官に蹴散らされる。
すごすごと低所得高齢者向けの食事サービスに集うが、ウンベルト・ドメニコ・フェラーリ(カルロ·バティスティ)はアパートの立ち退きを迫られている。
かつては政府に勤める公務員だったウンベルトは昔の同僚に借金を頼むが、みなつれない。
入院すると食事つきと聞き、病院にもぐりこんだのもつかの間。
進退極まった彼は自殺を決意するが、愛犬・フライクの扱いに困る。
ペット預かりは有料だし、公園で顔なじみの子どもに譲ろうとしても、犬が戻ってきてしまう。
しかたがないので、フライクも道連れに鉄道自殺を試みるが、なんと愛犬に邪魔されて失敗…。
ひとり暮らしの高齢者の経済的困窮と孤独というテーマの普遍性と、監督の突き放した描き方に感じ入った。1951年製作という古典的名作。
(ヴィットリオ・デ・シーカ監督/1951年/イタリア/110分)
