CF070 『素敵な相棒 ― フランクじいさんとロボットヘルパー ―』 ROBOT & FRANK

自立支援型ロボットは泥棒も手伝う
舞台は、近未来のアメリカ。
ひとり暮らしのフランク(フランク・ランジェラ)は、警察学校の教科書に載るほど有名な元泥棒。
でも、認知症がひどくなり、自宅を忘れて押し入ってしまい、大いに落ち込む。
息子のハンター(ジェームズ・マースデン)は週末、車を10時間も飛ばして、フランクの世話に通っているが、毎度のゴミ屋敷状態と意固地な父親に疲れている。
思案の結果、超高性能のヘルパー・ロボット(ホンダの二足歩行ロボット「アシモ」に似ている)を奮発してプレゼント。
熟練の職人技が自慢のフランクは、テクノロジーに懐疑的。
だが、家事全般から健康管理まで完璧にプログラミングされたロボットは、家をすみずみまできれいにして、野菜中心のヘルシーな料理を作り、散歩にも同行し、会話にも応じる。
そして、最新型ロボットの大きな特徴は、「本人のやる気を引き出す」こと。
なので、フランクが楽しみにしている万引きもサポートしてしまう。
ロボットの特性に気づいたフランクは、泥棒のテクニックを伝授。
電子ロックの暗号解除のスピードは、当然のことながら超人的。
図書館の稀少本を盗むのに成功したフランクは、ロボットとともに近くのゲーティッドハウスに住む成金カップルの宝石を狙うが…。
生気を失っていたフランクが、ひたすら自分に忠実なロボットを得て、現役復帰(!)していく姿がユーモラスで微笑ましく、また、ほろ苦い寂しさを誘う。
政府の「成長戦略」は、ロボット産業の育成を掲げているが、その中心は「介護ロボット」だ。
機能については、パワーアシストスーツなど介護者の負担軽減型、歩行アシストなど本人支援型、バロなど癒し型など、いろいろあってにぎやか。
フランクに寄りそうSFロボットは本人支援型で、多くの人が期待しそうなタイプ。
でも、自分では何もできず、逆に人の支援が必要な『弱いロボット』(岡田美智男著・医学書院)という考え方も登場している。
大友克洋がアニメ『老人Z』(1991年)で構想した介護ロボットは、寝たきり対応のベッド型だった。
四半世紀近くが過ぎ、ヒト型ロボットの登場にちょっと感慨もわく。
映画『素敵な相棒 ― フランクじいさんとロボットヘルパー ―』公式サイト
(ジェイク・シュライヤー監督/2012年/アメリカ/89分)

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