CF114 『希望のかなた』
Toivon tuolla puolen
無口で不器用な人たちの人道支援
シリアのアレッポから、戦火を逃れてきたカーリド(シェルワン・ハジ)は、各国の難民キャンプを転々として、ヘルシンキにたどりついた。
まっすぐめざしたのは警察で、難民申請をして収容施設に入る。
家も家族も失った彼の唯一の願いは、はぐれてしまった妹をみつけだし、「いい人びとのいい国」に受け入れてもらうことだ。
しかし、認定審査は厳しく、裁判所の送還命令に脱走した。
だが、街をさまよえば、極右グループにつけ狙われる。
一方、ヴィクストロム(サカリ・クオスマネン)は、アル中の妻に愛想をつかして、ワイシャツの卸売の仕事を廃業。
カジノに出かけて一攫千金を手にし、従業員3人付きのレストランを買う。
だが、労働意欲が低い従業員に、飲み物しか頼まない客ばかり。
無言で思案するある日、ゴミ捨て場で野宿していたカーリドに出会った…。
日本にファンが多いカウリスマキ監督は、多くの作品で、社会の底辺につつましく生きる人たちを情けないまでにリアルに描き、かすかな希望しか見せてくれない。
本作では難民問題に視野を広げ、不器用で個性的な人たちのユーモラスな支援が展開されていく。
日本人にとって、フィンランドはサンタクロースにサウナ、ムーミンの国。
だが、スウェーデンに500年、ロシアに100年も支配され、独立したのは1917年のことだ。
難民だけでなく、移民の受け入れにも積極的だが、国内には受容と反発のせめぎあいがあることを教えられる。
ひるがえって日本では2017年、難民申請をしたのは1万人を超えたが、認定したのはわずか10人、人道上の配慮で在留を認めたのは34人というのが現状だ。
介護分野に外国人労働者を積極的に受け入れる政策も出ているけれど、「在留期間」はとても短い。
私たちはどのくらい広い心を持つことができるのか、そんなことも考えながら観てもらいたい作品。
(アキ・カウリスマキ監督/2017年/フィンランド/98分)
