CF116 『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』

CF116 『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』
Maudie
自分で創りあげた世界
美術の分野では、教育を受けることなく、独自の世界を創造したアンリ・ルソー(フランス)やピロスマニ(ジョージア)など「素朴派」と呼ばれるジャンルがある。
アメリカでは、76歳で初めて絵筆をとったグランマ・モーゼスが有名だ。
本作の主人公、モード・ルイス(サリー・ホーキンス)は、カナダではよく知られた画家なのだという。
リウマチで手足が不自由なモードは、幼いときから絵を描くことが大好きだった。
しかし、30代で両親が死去。借金漬けの兄に家を売り払われ、アイダおばさんの家に置き去りにされた。
冷ややかなおばさんとの生活からの脱出を願う彼女の前に、家政婦を探すエベレット(イーサン・ホーク)が現れた。
孤児院育ちの彼は、魚売りや雑用をこなす働き者だが、武骨で粗野な男だ。
ところが、モードは「自分の世話は自分でする」とおばさんに宣言し、エベレットの小さな木造小屋で住みこみ家政婦をはじめた。
彼女の幸せは、絵を描くこと。
横柄な態度のエベレットだが、壁や窓に絵を描くことを拒まなかった。
花や鳥、冬景色などを明るい色彩で描く作品に、ニューヨークからやってきたサンドラ(カリ・マチェット)が注目した。
「お金を払うから、もっと描いて」とリクエストされ、エベレットはモードをちょっと見直す。
映画は、ふたりが結婚に至るまでのほほえましい道筋をたどる。
しかし、荒涼ともいえる自然のなかでの貧しく、つつましい暮らしは、モードの作品がテレビでも取りあげられ、大勢の人が押しかけるようになって一変する。
「もう、うんざりだ!」と苛立つエベレットに、モードは立ち去るしかなかった…。
「私は多くを望まない。絵筆があれば満足なの」と語るモード・ルイスの才能と愛情、知性に感動する。
彼女は1970年に亡くなったが、家具や調理器具もふくめて内外を絵で埋め尽くした家は、ハリファックスのノバスコシア美術館に保存されているそうだ。
(アシュリング・ウォルシュ監督/2016年/カナダ・アイルランド/116分)

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