CF124 『ギャングース』
特殊詐欺に「タタキ」を挑む若者たち
サイケ(高杉真宙)、カズキ(加藤諒)、タケオ(渡辺大知)は、幼い時から親に虐待などを受け、学校に通うことなく、少年院で出会った「最弱3人組」。
社会に出ても、搾取されてばかりの日雇い労働では、牛丼も満足に食べられない。
スクラップ寸前のバスに寝泊まりしながら、特殊詐欺など犯罪組織の売上を横取りする「タタキ」稼業に挑む。
組織のアジトから首尾よく金庫を盗み出しても、便利屋(?)に情報提供料や強盗工具などのレンタル代を支払う姿には、苦笑させられる。
それでも、3人は現状からの脱出をめざし、せっせと「タタキ」を繰り返して、お金を貯める。
しかし、世の中は甘くない。異変に気づいた組織に追いつめられて、一発逆転の大勝負に出たが…。
マンガ雑誌『週刊モーニング』に連載された肥谷圭介の作品が原作だが、共同制作者の鈴木大介はルポライターで、『最貧困女子』(幻冬舎)、『老人喰い』(ちくま新書)など、若者の貧困問題に詳しい。
余談になるが、脳梗塞に倒れた実体験を綴った『脳が壊れた』(新潮新書)もある。
映画では、「老人の『死に金』を社会に還元する義挙」と洗脳する振り込め詐欺スタッフ養成研修や、電話によるドラマ仕立ての騙しの手法がリアルに描かれる。
主人公3人組には、悪い奴らしか狙わないルールがあるみたいだが、横取りしたお金は元はといえば、被害にあった人たちのものだ。
特殊詐欺は減ったとはいえ、2018年は16,496件、被害額364億円で、被害者の8割は高齢者だ。
5月にはタイを拠点とする詐欺グループの15人が逮捕されたが、若者が多く、実態はタコ部屋のようだった。
映画はエネルギッシュでテンポよく、貧しく淋しい若者たちの友情がほほえましいが、「将来の不安」に預金通帳を抱きしめる高齢者と、貧困にもがく若者の構図にはため息も出てしまう。
(入江悠監督/2018年/日本/120分)
