CF126 『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』

CF126 『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』
障害者の自立生活運動を知る
介護保険の勉強会で、「なぜ、介護と障害はサービスが違うんですか?」と聞かれることがある。
「同じほうかがいいと思うけど、成り立ちが違うので…」と答え、1970年代から各地に広がった障害がある人たちの自立生活運動の紹介をすることが多い。
自立生活運動は、保護と規則に包囲された施設から飛び出し、ボランティアの介助者を集め、地域のアパートなどで「普通」の生活を営む。
最寄りの駅や大学などに出かけて介助ボランティアを募るのが、活動の文字通り生命線だった。
本作は、2003年に話題になった同名のノンフィクションが原作だ。
出版当時、障害のある本人だけでなく、「健常」な介助ボランティアにも注目したのが新鮮だった。
札幌の道営ケア付き住宅に暮らす鹿野靖明(大泉洋)は、筋ジストロフィーで首から下を動かせない。
24時間、途切れることのないボランティアに囲まれ、あつかましいまでの指示を繰り出しながら暮らしている。
不眠症で寝つけない鹿野は、夜中でもボランティアにバナナを買いに行かせる。
反発したり、同情したり、わかろうとしたり、彼を取り巻くボランティアたちは奮闘する。
だが、鹿野本人が一番、大変なのだ。
両親との関係を断ち切り、私生活をすべてさらけ出して支援を求め、若い学生ボランティアの人生相談にも乗る。
しかし、進行性の病気は気管切開をして呼吸器をつけるまでに重症化する。
それでも、鹿野は家に戻ることを求め、ボランティアたちは病院で喀たん吸引の講習を受け、彼の願いを実現する。おまけに、彼は呼吸器をつけたままでの発声方法をマスターした…。
鹿野の絶対的な自己肯定力と、それに共振するボランティアたちの若いエネルギーが、北海道を舞台に魅力的に描かれた作品。
原作は文庫化(文春文庫)されている。
(前田哲監督/2018年/日本/120分)

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