CF128 『12か月の未来図』

CF128 『12か月の未来図』
Les Grands Esprits
「共生社会」に必要なもの
パリ中心部の名門校で働くフランソワ(ドゥニ・ポダリデス)は、国民的作家の父を持ち、妹は彫刻家というブルジョワ育ち。
未来のエリートたちに容赦ない国語(フランス語)教育をほどこす高校教師だ。
ある日、父の出版記念会で会った美女に、教育格差の解消にはベテラン教師を問題校に派遣すべきと持論を語った。
いい格好をしたかっただけなのだが、ランチの誘いにいそいそと出かけてみたら、彼女はなんと国民教育省の問題校対策の担当者だった。
大臣からも「あなたのアイデアに期待している」と挨拶されてしまい、もう引っ込みがつかない。
彼はおっかなびっくり、郊外のスラム化した地域の中学校に1年間の期間限定で赴任。
だが、同僚教師は、問題児は退学させることしか考えていない。
フランス語は得意なフランソワも、アフリカ系の生徒の名前が正しく発音できない。
ところが、鼻もちならないエリート教師にみえたフランソワには、ベテラン教育者の意地があった。
生徒の名前を徹夜で覚え、フランス語に興味を持つよう授業を工夫する。
最初はふてくされていた生徒たちも、フランソワの熱意に心を開いてきた。
だが、問題児のセドゥ(アブドゥライエ・ディアロ)がやっかいだ。
おまけに彼は、退学候補の筆頭だった…。
生き生きとした子どもたちの演技が魅力的な作品だが、フランスでは人口の1割が移民で、その子どもたちの半数は中等教育が最終学歴で、非正規の低所得労働者に甘んじることが多いという。
介護労働者が足りないと言われて久しい日本では、留学生や技能実習生など「外国人材の受入環境整備」が浮上する。本作を観ながら、外国人労働者の受け入れには、労働環境の整備はもちろん、彼ら彼女らが家庭を持ち、子育てをするまでも想定すべきなのだと思った。
(オリヴィエ・アヤシュ=ヴィダル監督/2017年/フランス/107分)

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