CF139 『Girl/ガール』
Girl
繊細な焦燥感
15歳のララ(ヴィクトール・ポルスター)は、透明感のある美少女。
幼い弟とタクシー運転手の父親(アリエ・ワルトアルテ)の3人で暮らしている。
夢はバレリーナで、難関のバレエ学校に入学することができた。
だが、彼女は大きな試練も抱えていた。
それは、性同一性障害のため、男性の身体を女性に変える治療を受けていることだった。
父親に付き添われて病院に通い、カウンセリングを受ける。
性別適合手術を受けたいが、体力がつくまで3年待つように言われている。
愛情深い父親がいて、親戚も理解がある。
バレエ学校も受け入れてくれている。
まわりの大人たちの説明に納得する努力をして、懸命にバレエの練習に励むが、「本当の少女」でないという焦燥感がつきまとう。
恋愛に挑戦して挫折し、クラスメイトの嫉妬に傷つき、彼女はある日、行動を起こしてしまった…。
日本でも2003年、「性同一性障害者特例法」が成立している。
とはいえ、政治家による性的少数者への差別発言は繰り返されるし、ホームページに「病気」と記載していた厚生労働省が、批判を受けて削除したのは2020年7月のことだ。
そんな日本から眺めると、1970年代から権利保障が進むヨーロッパに暮らすララの環境は恵まれているようにみえる。
しかし、思春期の心の揺らぎを繊細に描く本作は、問題はそれほどたやすくないのだと教えてくれる。
新たな視点から「共に生きる」ことを問うテーマは決して軽くはない。
とはいえ、監督がオーディションで「天使のようだ」と思ったという主役を演じたポルスターのはかない美しさにみとれてしまう作品でもある。
(ルーカス・ドン監督/2018年/ベルギー/106分)
