CF148 『海辺の家族たち』

CF148 『海辺の家族たち』
La villa
重苦しい家族再会から見出した未来
舞台はフランス、マルセイユ近郊の小さな漁村。
かつては別荘地としてにぎわい、美しい入り江を望むバルコニーを構えたヴィラのレストランは大繁盛していた。
しかし、今や人口流出と高齢化が進んでいる。
ヴィラの老オーナーは長男のアルマンと細々と商売を続けていた。
だが、ある日、倒れ、全身マヒになってしまった。
突然、介護が必要になった父親のもとに、書けない作家の次男・ジョゼフは、若い婚約者と連れだって来た。
女優として成功した末っ子のアンジェルも「相続があるから」と浮かぬ顔で戻ってきた。
もはや中年になった子どもたちの再会は、ワンマンだった父親へのわだかまりや、自身の人生への屈托がからみあって沈みがち。
そこに乱入するのは、地元の若い漁師、バンジャマンだ。
彼は少年時代にアンジェルの舞台を観て以来、彼女に夢中だった。
思いがけないチャンスに、母親とさほど変わらない年齢の彼女に一直線に求愛する(このあたりは実にラテン的)。
そして、ヴィラの向かいに住み、長いつきあいのあった老夫婦が、なんと心中してしまった。
家賃を払えなくなった夫婦に、医師になったひとり息子は経済的な援助を申し出ていたのに、断固として拒んだ果てのことだった。
地中海は輝いているのに、重苦しいな空気が支配するなか、今度は小さな入り江に無人の難民ボートが漂着する。
不法入国を警戒する警察官たちのパトロールが続くなか、3人は思いがけない事態に出会い、それぞれの後半生を踏み出すきっかけを得た…。
高齢者介護をめぐる中年の子どもたちの心象風景に、過疎化や難民問題が織り込まれ、日本にも共通するシチュエーション。
とはいえ、登場人物が率直に批判しあい(フランス人はたいがいおしゃべりだ)、一貫して互いの自己決定を尊重するところに、フランスの個性を感じた。
(ロベール・ゲディギャン監督/2016年/フランス/107分)

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