CF150 『タッチ・ミー・ノット~ローラと秘密のカウンセリング~』
Touch Me Not
セックスを語りあおうという提案
俳優がインタビューを受けるドキュメンタリーなのか、それとも演技か、まず、とまどう。
ローラ(ローラ・ベンソン)は老いた父親が入院する大きな病院に通っている。
意志表示できない父親に会うのが苦痛なのか、苛立ちがあるのか、とても不機嫌だ。
病院には、グループカウンセリングの部屋らしきものがある。
白い壁に白いクッション、体型がわからないたっぷりした白い服を着た人たちが集まっている。
身体障害や知的障害がある人、トランスジェンダーの人など、こちらも俳優なのか、本人なのか、とてもあいまいだ。
だが、テーマがセックスであることは明らか。
ローラは人に触れられることに拒否反応があり、さまざまなカウンセリングを受けている。
なぜ、彼女は人に触れられること、セックスすることを嫌がるのか?
どこまで追求するのかと思っていたら、ローラは突然、カメラを向けている監督に「こっちに来てみたら」と挑戦的なまなざしを向けた。
あたふたとカメラの前に出てきた監督が、ボーイッシュな女性なのにびっくり。
一方、グループカウンセリングを受けている障害のある人たちは、お互いに触れあってみた気持ちを言葉にして、みずからのセックスライフも率直に語っていく。
人間の基本的な欲求は、眠ること、食べること、セックスすることだ。
介護あるいは介助の現場では、睡眠と食事の支援は語られるが、セックスはほぼタブー視されている。
最近は「介護ハラスメント」が課題として浮上しているが、プライベートな領域とはいえ、セックスは支援が必要な人だけでなく、すべての人にとって普遍的なテーマ。
とはいえ、語られることは、ほぼない。壁になっているのは、羞恥心か、嫌悪感か、からかいや興味本位でみられるせいか。
「あなたはどんなセックスをしてますか?」とストレートに問われる作品。
(アディナ・ピンティリエ監督/2018年/ルーマニア、ドイツ、チェコ、ブルガリア、フランス/129分)
