CF154 『スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話』

CF154 『スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話』
Hors normes
インテグレーションの迫力
自閉症の子どもや成人の社会参加を支援する団体『正義の声』(素晴らしい名前だ!)を運営するブリュノは毎日、駆け回っている。
商店街でパニックになった少女を追いかけ、電車の非常ベルを押すのが好きな青年の就職先を探し、いくつもの福祉施設から入所を断られた少年を宿泊所に引き受け、ようやく事務所に戻れば会計士から「監査が入る」と告げられる。
監査するのは、フランス政府の社会問題監察総監(日本だと厚生労働省の指導・監査部門みたいだが、こちらは独立機関で125人もの監査官を擁しているそうだ)。
赤字経営の無認可団体だから、いくらでもたたける。
だが、保護者も専門病院(入院は3か月がリミット)もブリュノを頼りにしているのに、おとりつぶしにして、自閉症の彼ら彼女らにどこに行けと言うのか。
ほとんど開き直りの活動を続けるブリュノの盟友は、低所得層の若者たちの社会復帰を支える団体『寄港』を運営するマリクだ。
イスラム教徒の彼は、半ぐれの少年少女たちの就職活動などを厳しく、やさしく指導しているが、『正義の声』にもボランティアや介助スタッフとして派遣してくれる(なかなか上手な連携だ)。
そして、ユダヤ人街のなじみのレストランは、独身のブリュノのために、オーナーがせっせとお見合いをセットする。
ただし、せっかくいい雰囲気になっても、ブリュノに緊急コールが入って、いつも未完に終わってしまう。
ブリュノとマリクには実在のモデルがいて、どちらも20年以上の活動歴を持つ。
監督たちは1994年にふたりと出会い、映画化の構想を得た。出演者には自閉症の本人もいるそうだ。
たとえ重い障害があろうとも社会で生きる「インテグレーション」(統合)を文字どおり実践する迫力に圧倒される作品。
なお、フランス語の原題は「規格外」という意味とのこと。
(エリック・トレダノ、オリビエ・ナカシュ監督/2019年/フランス/114分)

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