CF163 『無垢なる証人』
Innocent Witness
目撃者は自閉症の少女
スノ(チョン・ウソン)は、庶民を守る熱血弁護士だった。だが、お人好しの父は友人の借金を抱え、パーキンソン病も患っている。
治療費もかかるし、母亡きあとのふたり暮らしで、息子介護もしなければならない。
やむなく、有名弁護士事務所に鞍替えしたものの、稼ぎ優先の職場にいまひとつ意欲がわかない。
人権派弁護士で頑張るスイン(ソン・ユナ)との交際は続いているが、ひたむきな彼女に後ろめたさも感じている。
そんなとき、所長から大企業の子分というイメージを払拭したいと、殺人事件の国選弁護人を命じられる。
容疑者は住み込み家政婦・ミラン(ヨム・ヘラン)。
彼女が裕福な雇い主を殺したのか、それとも妻を亡くした80代の老人の自殺だったのか。
唯一の目撃者は、被害者宅の向かいに暮らす高校生のジウ(キム・ヒャンギ)。
彼女は自閉症だが、記憶力抜群で知能も高く、裁判所は証言能力を認めた。
スノは事件当日のことを聞くため、ジウを訪ねるが、意思疎通ができない。
困り果てた彼が頼ったのは、なんと殺人を確信している検察の新人検事。
憤然とする検事から、「自閉症の人は、自分の世界から出られない。相手が出られないなら、あなたが入ったら」と助言を得る。
そして、毎日のようにジウの学校に通った。彼女の友人からパズル好きというヒントを得て、スノはようやくジウに心を開いてもらった。
しかし、裁判での彼の仕事は、陪審員たちにジウには証拠能力がないと納得させることだ。
スノは無残に彼女を傷つける弁論をふるい、一審の無罪判決を得た。
だが、喜ぶ容疑者・ミランの言動はつじつまがあわない。
所長は、会計事務所の顧問弁護士になることを勧めてくる。
会計士は、亡くなった老人のひとり息子だ。
違和感を抱いたスノは、再び聞き込みに歩きまわり、殺人を確信した。
だが、二審で再びジウに証言してもらうことができるのか…。
裁判サスペンスに、自閉症の人がぶつかる社会の壁を巧みに織り込んだ作品。
ジウ役のキム・ヒャンギは、名子役出身とのことだが、その演技力もすごい。
なお、フランスのテレビドラマ『アストリッドとラファエル』は自閉症のヒロインが活躍するお気に入りのシリーズ。
アストリッドの合理的推理力と社会的自立を果たしていく姿、そして、彼女を見守るシングルマザーの警部・ラファエルの大いなる包容力が魅力だ。
(イ・ハン監督/2019年/韓国/129分)
