ハスカップ裁判・弁護団声明

「市民福祉情報」無断盗用事件訴訟提起にあたって(弁護団声明)
1 本件は、原告が、市民福祉情報オフィス・ハスカップという呼称で、希望者に無償で配信しているメールマガジン市民福祉情報(以下、「市民福祉情報」という。)を受信した被告が、これを原告に無断で複製した上、被告が展開する有料会員制メンバーシップ・サービスにおいて、被告の独自の調査結果と称して、会員に対してメールマガジン(以下、「被告メールマガジン」という。)として配信したという事案である。
2 1997年に介護保険法が成立し、利用する高齢者がみずからサービスを選ぶ選択制度に変わるとされ、高齢者福祉サービス提供事業者として民間会社にも門戸が開かれた。
 措置制度ではない、サービス利用者の自己決定、自己選択が制度の基礎として据えられたのである。それ故、「介護の社会化」をうたったこの制度の要諦は、利用者が様々な判断をする際、営利にかたよらない、バランスがとれ、透明性の高い、誘導性の少ない情報をいかに入手しうるかにかかっている。
 つまり、行政制度や事業者サイドだけではなく、第三者的な情報の提供が決定的に重要になる。
 特に情報革命とも言えるインターネットなど電子化は、大量の情報を一斉に送ることを可能とし、紙媒体時代とは全く異なる局面を生むことになった。
 上記のような情報提供を含むNPOや市民グループによる高齢者の権利擁護のための活動の社会的重要性が高まる一方で、このような非営利活動の権利保障は、まだまだ不十分と言わざるを得ず、他方で、営利目的のみに走り、高齢者の人権を侵害したり、非営利活動を悪用するなどの行為を行うブラック事業者、その周辺部の経営コンサルタントらの存在も明らかになってきた。
3 本件は、高齢化社会における上述した問題の象徴的事案である。
 原告が膨大な時間を使って収集、分析した貴重な情報を、高齢者の権利擁護のために非営利(無償)で配信したものを、被告は自ら収集、分析したかのように装って有料会員に配信し、営利目的のセミナー等に勧誘していた。こうした原告の非営利活動における著作権・人格権は当然、保障がなされるべきであり、他方、非営利活動を悪用して金儲けの手段とする被告の責任は厳しく問われなければならない。
 本件訴訟の目的は、営利のみを目的として人権侵害を行う事業者の責任を問うとともに、高齢者の権利擁護のために市民らが行っている非営利活動の十全な保障を勝ち取ることにある。原告は、被告に対し、謝罪及び「無断転載」の中止を求めるだけでなく、有償にすることができる作業をあえて無償で展開している市民活動(非営利活動)の存在意義を問うために訴えの提起に至った。
 本件訴訟に於いて、非営利活動を行う原告自らの人格的尊厳を守り、非営利活動の法的権利性とその法的保護の必要性を社会に訴え、社会的認知を得るとともに、非営利活動の法的地位を確立させる所存である。
2015年8月4日
原告訴訟代理人弁護士
 南 典男
 藤澤 整
 貞光信義
 井堀 哲
 内田耕司
 海野仁志
 大江京子
ハスカップ声明 「市民福祉情報」無断盗用事件訴訟について
応援メッセージ
著作物を謝窃し、販売する行為は許されません(沖藤典子さん)
非営利活動の権利尊重を(小島美里さん)

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